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産婦人科にも管理栄養士がいる?
皆さん、ご存じでしたでしょうか。一般的に管理栄養士は、糖尿病や腎臓疾患の治療を行う内科で勤務している、というイメージがあると思います。しかし、実は産婦人科にも勤務していて、母子の体を栄養面からサポートしたり、婦人系の疾病を支えたりと、まさに縁の下の力持ちなのです。
そこでここでは、産婦人科の管理栄養士がどのような仕事をするのか?必要なスキルは?などを解説していきます。
女性にとって大切なステージである「妊娠」と「出産」。管理栄養士は、丈夫で健康な赤ちゃんの出産のために、どのような栄養が必要なのかを考え、理想的な献立を作ったりアドバイスしたりすることがメインとなります。大きくその仕事内容を紹介すると以下の通りです。
入院・通院している妊婦さんに対して、献立の作成や栄養指導等を行います。
一人ひとり健康状態が違いますから、例えばアレルギー体質の方や妊娠高血圧症・妊娠糖尿病などの疾病に罹っている方などの体調に配慮した献立メニューを作ったり、季節の食材を使った栄養バランスの良い献立を提供することも。
また、体重管理が必要な妊婦さんへは、生活習慣や好き嫌いをヒアリングし、それらを見直した食事の改善方法なども指導します。
以下、実際に病院に勤務している栄養士・管理栄養士の方の1日のスケジュール例を見てみましょう。(施設によって就業の時間帯が異なります。)
早番の日の出勤時間は朝の6時半。出勤するや朝食の準備にとりかかり、8時から配膳や片付けを行います。朝食関連の業務が落ち着いたら、すぐに昼食準備へ。昼の12時から13時半くらいまで配膳・片付け・清掃・下膳・洗浄などの業務を行い、その後2時半まで休憩します。休憩後、栄養指導や事務作業などを行い、15時半に1日の業務が終了となります。
日勤の日の出勤時間は朝の8時。申し送りの確認や栄養指導の準備作業などを行い、9時から栄養指導や付随する事務作業を行います。12時から30分ほど食事回診を行い、12時半から1時間ほど休憩。休憩後、ふたたび栄養指導や事務作業を行い、16時半に申し送りに参加。17時に1日の業務が終了となります。
遅番の日の出勤時間は午前10時半。出勤してすぐに仕込みなどの作業に入り、13時半から1時間ほど休憩します。休憩後は夕食の準備にとりかかり、15時半から夕食の調理をスタート。18時から19時半まで配膳や片付け業務を行って1日の業務が終了します。
NSTとは、栄養サポートチーム(Nutrition Support Team)の略。管理栄養士が中心となり、医師・看護師・薬剤師などがチームを組んで各患者への支援を行っています。経口で栄養を摂ることができない患者もいるため、栄養士は、食事以外の方法による栄養補給法にも習熟している必要があります。
NST専従の日の出勤時間は朝8時。出勤後、申し送りの確認や回診を行ったのち、9時からNST回診の準備にとりかかります。12時から30分ほど回診したのち、1時間ほど休憩。休憩後にふたたびNST回診の準備を行い、14時半から16時までNST回診を行います。NST回診を終えたら、その内容を主治医に報告。16時半に申し送りに参加し、17時に退勤します。
病院だけではなく市区町村で開催される「母親学級・両親学級」などで、栄養指導を行います。
妊娠中になりやすい体重増加や貧血などの予防、控えておきたい食材、赤ちゃんのために必要な栄養(葉酸の必要性)などを分かりやすく説明したり、栄養バランスの良い献立等を解説します。
ちなみに、産婦人科に勤めた経験を生かして、離乳食や授乳期間中の女性向けサプリの開発といった研究職に就くという方もいるようです。
市区町村で行われる母親学級・両親学級では、たとえば次のような指導を行います。
体重管理の必要性や、栄養の摂取量が胎児にもたらす影響など、妊娠中の女性に対し、体重管理の意義を科学的エビデンスに基づいて説明します。体重管理にあわせ、飲酒や喫煙が胎児に与える影響も解説します。
出産直後や育児期における子供や母親の栄養摂取について、専門的な視点から説明します。健全な母乳を十分な量だけ確保する意味において、母親の栄養状態も非常に大切なポイントです。
妊娠糖尿病、妊娠中の過体重、妊娠高血圧症候群、多胎妊娠など、通常妊娠よりも高いリスクをともなう妊婦に対し、栄養管理の重要性や体重管理の具体的な方法などを指導します。
質疑応答や個別での相談を通じ、具体的な事例に対する指導・アドバイスを行います。多い事例として次のようなものがあげられます。
基本的に、妊婦さん(女性)と向き合う仕事となります。
そのため管理栄養士が求められるスキルは、栄養バランスを考えた献立を提案できるのはもちろんのこと、女性特有の悩みや出産前後の体の変化に関する知識、そしてコミュニケーション能力が必要となるでしょう。
例えば、つわりの時期。
特に妊娠初期(妊娠15週目)になると、ホルモンや自律神経のバランスが不安定になり、吐き気や頭痛などの不快な症状が出やすくなります。また、それらの症状に伴って、においに敏感になり食欲がなくなってしまうこともあるようです。
この時期は食べられるものも限られてきますから、栄養バランスも悪くなりがちです。母体に栄養が行き渡らないと母子ともによくありません。そこで、管理栄養士が行うことは、つわり時にでも食べやすい食材やレシピを考えること。
酸味のある「イチゴ」や「トマト」を使用したもので、なおかつビタミンや葉酸、カルシウムが摂取できるものというように、食べやすく栄養が取れるものを提案します。加えて、においが気になる食材は冷凍してそれを抑えるなどのアドバイスも行います。
とはいえ、冷たいものばかリも妊娠中の体にはよくないので、体を温めてくれる生姜湯や白湯をすすめたりとそれぞれ加減しながら栄養をしっかりと摂取できるように提案します。ほかにも、食べやすく飽きないためにバリエーションを持たせる献立も考えられるようにレパートリーを増やすことも必要です。
コミュニケーション能力に関して言えば、出産前後では妊婦さんの心の変化も起きやすいので、例えば出産前には緊張をほぐすような食事の盛り付けだったり、産後はなるべく好きなメニューを出してあげたりと気遣うことも大切なスキルのひとつです。
管理栄養士が産婦人科で働くのに必要なスキルは、単に妊婦さんの栄養を管理するだけではなく、心もしっかりとサポートすることが求められるようです。
産婦人科で働く管理栄養士の給料はいったいいくらくらいなのでしょうか。求人サイトを調べたところ、病院の規模や地域によってまちまちなのですが、
というものが多く見られました。
職場によって、退職金制度があったり、役職手当、住宅手当などの各種手当も付くこともありますので、諸手当の有無が気になる方は一度調べてみるのも良いかもしれません。
出勤に関しては、やはり病院のため、4週8休ローテーションだったり、月9日休日のシフト制だったりと病院によって条件はまばら。こちらに関しても、勤務希望の病院に問い合わせるなどして調べた方がよいでしょう。
ちなみに、産婦人科で募集されている管理栄養士の傾向として、「パート・アルバイト」「正社員」というように雇用形態を選びやすいということが挙げられます。ご自身が子育て中の方は「パート・アルバイト」を、そうではない方は「正社員」というようにライフスタイルに合わせて働き方を変えている方も多いようです。
1日数時間からフルタイムまで、募集があります。
時給は上記の額を参考にしてください。病院によっては、パート・アルバイトでも賞与を出してくれたり、資格手当や退職金制度を設けているところもあります。勤務形態に関しては、シフト制がほとんどで、早出・遅出を求められる病院もあるようです。
また、社会保険については加入できる場合と一部の保険には加入できない場合もありますので、加入を重視している方は求人内容に「社会保険完備」と記載していることを確かめてから応募しましょう。
パートやアルバイトと違って、賞与や退職金の制度が儲けられていることが比較的多く、同様に役職手当や住宅手当などの諸手当が交付されている病院も見られました。勤務形態に関しては、基本シフト制。ただし、医師や看護師と違って夜勤はないようです。
福利厚生については、院内行事に参加できたり、なかには託児所が整備されている職場もあります。
給与形態は、パートやアルバイトのように「時給」と、正社員のように「月給」のパターンがあるようです。
契約条件としては、ほとんど正社員と変わらないという病院も多いのですが、契約年数に違いがあったり一部制度が適用されなかったりするので、確認の必要があります。
ちなみに契約社員のメリットとしては、すべての病院というわけではないのですが、給料が少し高く設定されている点。2点目は、雇用期間が定まっていない正社員よりも辞めやすい点。そして3点目は、残業が少ないことが挙げられます。
一方のデメリットとしては、昇給や昇進の制度が適用されない点。基本的に雇用契約書に記載されている金額で給与が支払われますので、次回の契約更新までは昇給の可能性が低いことが挙げられます。
そして2点目は、雇用期間が契約によって定められ、期間満了後に雇用が継続される保障がないということ。辞めやすいという反面、辞めさせられやすいという面もあります。
さらに、職位や職責が変わり、責任を負う度合いや仕事内容が変わったりする正社員とは異なり、契約社員の場合は原則的にそれがないので、仕事の幅を広げたい、という方にはもしかしたら向いていないのかもしれません。
以上、産婦人科で働く管理栄養士の給料について、正社員や契約社員、パートなどの雇用形態の違いを基準に詳しく解説しました。雇用形態が異なれば、処遇や受けられる福利厚生も異なります。受け取る手取り額にも違いはありますが、ご自身のライフスタイルや働く目的に合わせ、自分に合った雇用形態で就業するとよいでしょう。
また、雇用形態のほかにも、地域差や病院の規模・タイプなどにより処遇に違いが出ることがあります。
都市部と地方とを比較した場合、都市部の管理栄養士のほうが、給料は高くなる傾向があります。
ただし地方都市に比べると、都市部では住居費を含めた出費が高くなる傾向があります。よって、かならずしも都市部のほうが有利とは限りません。
病院の規模(病床数など)や、病院のタイプ(総合病院か専門クリニックかなど)により、管理栄養士の給料が異なることがあります。
施設の大小が給料に影響するように見られがちですが、人材不足の昨今、スタッフを厚遇で迎えることで運営体制を整えている病院やクリニックがあります。就業先を決める前に、処遇や福利厚生などを十分に確認しておくとよいでしょう。
女性にとって大切なステージに立ち会い、またそれをサポートする喜びを味わうことができるのが産婦人科に勤める醍醐味。
栄養面だけではなく、メンタル面からも女性をケアしたい、女性のための栄養士になりたい、という方には向いている職場なのではないでしょうか。