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栄養士は衛生管理につねに細心の注意を払う必要があります。
食中毒など衛生面での事故を起こさないために、まずは栄養士自身が衛生管理に関する知識をしっかりと持つことが大切です。
飲食店や販売店、食品製造施設などに対して、「必ず1名の食品衛生責任者を定めなければならない」という法律がありますが、栄養士は、特に講習などを受けなくても食品衛生責任者の資格を有しています。
その主な役割は、
といったものになり、その事業所の衛生管理は、食品衛生責任者の手腕にかかっています。
食に関わる施設においては、衛生管理は非常に重要度の高い仕事です。これを怠ると、衛生事故が発生し、重大な健康被害を起こしたり、それに伴い業務停止など事業の存続に多大なる影響が出る事態を招く恐れもあります。
2018年に改正された食品衛生法などの法律では、食品等の事業者に向けてこれまでよりも厳しい衛生管理の体制が求められるようになりました(※1)。また東京オリンピック2020の開催などの影響もあり、国際的な食品規格委員会(コーデックス)から発表された食中毒リスクや危険要因を除去するための工程を徹底的に管理する「HACCP(ハサップ)」(※2)に沿った衛生管理の導入も推進されています。
調理に直結していないものであっても、栄養士はつねにこうした法令の改正や改定を把握しておかなければいけない専門職です。現時点で職に就いていない人でもどのような法令なのか、またどこが改定されたのかを逐次確認しておく必要があります。
職場ごとに衛生マニュアルなどが用意されていますが、調理従事者はつねに衛生面の管理を怠らないようにしなければなりません。
手洗いなどは、調理の基本だからこそ忘れずに行いましょう。
たとえば行政の公式サイトでも「学校給食における標準的な手洗いマニュアル」(※3)が公開されています。
このほかにも腸内細菌検査の実施や衣服の衛生、調理室内への私物持ち込み禁止など、衛生面の管理を徹底するために守らなければいけないルールは多岐に渡ります。
食の衛生管理・安全管理に関連する概念として、学校給食施設や仕出し業者などで行われている検食(けんしょく)があります。検食には、まったく異なる以下2つの意味があります。
集団給食施設において、施設の責任者や栄養士が、提供される食事の内容・栄養・衛生・嗜好性などを検査するために行われる試食としての検食があります。検食の結果は「検食簿」と呼ばれるファイルに記録され、以後の給食の改善に向けた資料として役立てられます。また、主に検査は給食責任者や栄養士等が行いますが、学校給食においては、提供されている学校の校長等が行うこともあります。
集団給食施設や仕出し業者、弁当業者などにおいて、事後的な衛生検査のために保存される食品のことです。厚生労働省が作成したマニュアルによると、「材料および調理済みの食品を、それぞれ50gずつ清潔な容器に入れて、マイナス20度以下で2週間以上保存する」とされています。また、保存する原材料については洗浄・殺菌を行わないこととされています。この意味における検食は、食中毒が発生した際の原因究明、感染拡大防止、再発予防などを目的としています。
以上2種類の検食について、より詳しく確認してみましょう。
文部科学省の指導の下、都道府県教育委員会や市区町村教育委員会、学校設置者に遵守を義務付けられた学校給食法。その学校給食法が定めた「学校給食衛生管理基準」に基づき、行われているのが学校給食施設における検食です。
学校給食施設における検食の目的は、つまるところ、子どもたちの食の安全を守るということです。大人とは異なり、保育園・幼稚園・小学校・中学校の児童や生徒たちは、まだ体が完成していません。そのため、不衛生な食事が原因で健康を害することのないよう、検食が厳格に行われています。
文部科学省は、学校給食施設における検食のチェック項目として、以下を定めています。
学校給食調理場及び共同調理場の受配校においては、あらかじめ定められた責任者が、給食開始の30分前までに検食を実施。検食の結果、もし異常が発覚した場合には、給食を中止するとともに共同調理場の受配校においては、速やかに共同調理場に連絡をします。
なお検食後には、検食者の氏名、検食時刻、検食に対する意見などを「検食簿」と呼ばれるファイルに記録することとなっています。
高齢者介護施設や病院など、学校以外での給食提供施設においても検食は行われています。
ある病院の例を見てみると、まず検食の責任者として調理担当者や栄養士・管理栄養士、医師などを配置。かつ「検食簿」の確認・結果のフィードバックは、栄養士・管理栄養士が担当しています。
なお、高齢者介護施設や病院において「検食」と言う場合、次の「事後的な衛生検査用の検食」を指すことが一般的です。
食品衛生法、および厚生労働省が指導する「大量調理施設衛生管理マニュアル(※4)」により、集団給食施設、高齢者介護施設、病院、仕出し業者、弁当業者など一度に大量の食事の提供を行う際は衛生検査用の検食が義務付けられています。
衛生検査用の検食の目的は、食中毒事故が発生した際の原因究明、感染拡大防止、再発予防などです。
衛生検査用の検食方法については、厚生労働省が定める「大量調理施設衛生管理マニュアル」に詳細が記載されています。概要は次のとおりです。
また調理済みの食品については、配膳後の状態で保存すること。
検食用として保存する材料や食品については、保存容器に品目や採取の日付などを記載して保管します。また保管容器(キットやビニールなど)は、検食専用品を使用します。
※5「2週間以上保存すること」…潜伏期間が2週間弱のウイルス等が存在するため。
※6「洗浄・殺菌を行わず」…食中毒の原因が材料にあるのか、または調理済みの食品にあるのかを明確にするため。
もし給食施設や飲食施設などで食中毒が発生したならば、以後の感染拡大防止や同様の食中毒事故を予防するため、速やかに適切な対応策を講じる必要があります。たとえば千葉県においては、食中毒事故が発生した際の行動マニュアルとして、給食施設等に対して次のように指導しています。
食中毒等の事故や苦情が発生した場合には速やかに原因を究明し、健康被害の拡大及び再発を防止するために、以下の事項等について定めておく必要があります。
※原因の究明、情報伝達、製品の回収、改善策、再発防止、保健所への報告・協力、被害者への説明の方法等について、いつ・誰が・何をどうするのかといったように、具体的に定める
このマニュアルのうち、特に重要な項目は② です。この② を正確に行うためには、事前に行っていた検食を厳格に行っていなければなりません。
以上、検食の概要や方法、目的などを確認しました。
学校給食施設などでは、これら検食をベースにしつつ、他にもさまざまな衛生対策が実施されています。その1つが、次に紹介するノロウイルス対策です。
たびたびニュースで耳にするノロウイルス感染に関しても、調理従事者の衛生管理が徹底されていれば防げることが多くあります。
2017年に改正された「大量調理衛生管理マニュアル」にも、10月から3月までの期間は月に1回以上、ノロウイルスの検便検査を受けさせるように努めるという項目などが追加されています。
以下の参考サイト一覧に改正前後でマニュアルのどの部分が変更になったのか新旧対照表のURL(※4)を掲載していますので、確認しておくようにしましょう。