研究・開発職の栄養士・管理栄養士の仕事

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研究・開発職の栄養士とは、研究機関、飲食品事業者、メーカーなどに在籍し、栄養に関連する研究や飲食物に関する分析や開発関連業務をおこなっている栄養士を指します。

研究・開発で取り組む内容やその成果が貢献する対象は異なりますが、いずれも研究・開発の仕事を通じて、エンドユーザーの栄養面や健康における課題の解消や予防に貢献することができたり、生み出した新たな商品から、これまでになかった価値を感じてもらったりすることができます。

とてもやり甲斐のある研究・開発職の栄養士について、仕事内容や必要となるスキルを解説します。

研究・開発職の栄養士の主な職域

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まずは研究・開発職の栄養士の職域を確認していきます。

業界や所属事業者毎に名称やポジション、業務内容の差異がありますが、規模の小さな事業者や一気通貫でテンポよく行う必要がある場合は、研究・開発・分析を一貫して担うケースもあるようです。

研究分析をおこなう栄養士の場合

飲食物に含まれる成分の分析が、主な仕事となります。

安全性検査が主業務で、分析対象の品目毎に分析方法や使用機器が異なります。

〇主な業務内容

  • 成分検査…タンパク質、脂質、食物繊維、添加物など含有成分の量や率などを測定
  • 微生物検査…培養などを通じて測定
  • 理化学分析…塩分、糖分、粘土などの測定
  • 官能検査…五味(甘味、辛味、酸味、苦味、塩味)や匂いなどの測定
  • 包装検査…袋の破れなど
  • アレルゲン検査…食物アレルギーの含有量など

これらの研究分析業務によって、分析対象の飲食物の「機能性成分」「メタボローム」「アレルギー成分」「アルコール」「有害物質」「原料」「安全性」「味やフレーバー」など、その飲食物の状態を特定することができます。

主に大手飲食品メーカーの研究所や、食品の検査認証を専門に手掛ける分析会社などに従事する栄養士が取り組む仕事となります。

▼研究分析の栄養士が活躍する主な職場

  • 飲食品メーカーの研究所
  • 食品分析会社
  • 科学物質調査会社
  • 研究機構など公益法人

※研究開発や、商品の企画開発業務に含まれる場合があります。

研究職で求められる資質

研究職は、社会全体の食の安全に寄与する仕事となります。

日々、商品の成分や数値と向き合うことで、消費者が口にする商品の安全性を証明します。

■研究職の栄養士に求められる資質

  • 淡々と取り組めること
  • 数値に基づき判断ができること
  • 基準に準拠できること

研究分析をおこなう栄養士の主な職場

研究分析をおこなう栄養士の主な職場とその業務内容を見ていきましょう。

飲食品メーカーの研究所

食品メーカーの研究所で働く栄養士は、研究所内で様々な業務を担当することになるでしょう。中でも特に代表的な業務が、研究・商品開発・生産技術の3種類です。いずれも「研究分析」に関連した仕事です。

研究とは、工業化を意識した基礎研究や応用研究になります。ハイレベルな研究内容になるものが多いことから、栄養士の資格を取得後、大学院で研究手法を身に付けた後に就業する例が多いようです。

商品開発とは、その名のとおり、新商品の検討や試作です。研究職と生産技術職の間の立場であり、営業のプレゼンにも同行します。

生産技術とは、開発された商品を実際の製造ラインに乗せ、かつ量産化・効率化などを図る業務のことです。日頃から工場など現場との信頼関係を構築して、協力体制を整備するなどのコミュニケーション能力も求められます。

食品分析会社

食品分析会社における栄養士の仕事は、食品のパッケージ等に記載されている成分表示が、実際の食品と合致しているかどうかを調べることが挙げられます。また、その食品に含有されている成分自体が法などに照らして適正かどうかを調べることも行ないます。これら調査の目的は、ほかでもない、消費者保護にあります。

ただし、一口に「成分の調査」とは言っても、調査の対象や方法などは様々。たとえば、熱量やタンパク質、糖質、脂質、ナトリウムなどの成分を調査することもあれば、食品内の添加物、微生物、放射能、残留農薬などを調査することもあります。

これら食品成分を調査するにあたっては、栄養に関する知識とともに、法令に関する一定の知識も不可欠となるでしょう。

科学物質調査会社

科学物質調査会社における栄養士は、商品の中に含まれる科学物質の種類や質、量などを調査する仕事を担います。これら科学物質に関し、社員を対象に社内教育を担当することもあるようです。

また、商品内の科学物質に関する法規は国によって異なるため、海外展開をしている企業においては、それぞれの国の法規に沿った商品を開発しなければなりません。その際にも、栄養士を含めた研究者たちが、各国の法規に基づいた調査・研究を行っています。

研究機構など公益法人

公益法人とは、公共の利益を目的に事業を行う法人のことです。文系・理系を問わず、様々な公益法人が存在しますが、実際に栄養士が働くことの多い公益法人は、国や自治体が運営する研究機構(研究所)です。

具体的な例としては、国立環境研究所、国立長寿医療研究センター、酒類総合研究所、水産総合研究センター、理化学研究所、農林水産省政策研究所など。仕事内容は組織や所属、担当によって異なりますが、基本的には栄養士としての専門性を活かした研究業務が中心となります。

商品の企画開発をおこなう栄養士の場合

主に商品の企画開発を手掛ける栄養士の仕事です。

市場の調査結果から、新たに飲食物を企画開発することもあれば、現状と今後の市場を予測して、既存の商品を改良して商品化することもあり、場合によっては、自社商品を使った応用レシピを開発することもあります。

〇主な業務内容

  • 市場調査…営業やマーケティング部署と連携して、商品や市場の分析
  • 商品の企画…営業やマーケティング部署と連携して、商品コンセプトの設定
  • 材料選定…コンセプトに基づいて適切な材料を選定する
  • 試作と試飲食の繰り返し…市販化まで商品を昇華させながら繰り返す
  • 商品化…営業やマーケティング部署と連携して、市場導入や販促戦略などにも関わる

新商品の企画開発は、考案した商品コンセプトに基づき、原材料の選定から商品の試作や試食試飲を繰り返し、製造ラインに乗せて市場に出回るまで作り込んでいきます。


試作過程で、味や香りの変化、食感やボリュームなどが消費者に受け入れてもらえる仕上がりになるまで、根気強く取り組む必要があります。


事業者側からすると、開発された商品の成否が収益に大きく影響することから、強い責任感と、目的に則した商品を具現化する能力が求められます。


▼商品企画開発の栄養士が活躍する主な職場

  • 大手飲食品メーカーの研究所
  • 飲食店チェーンの企画開発部署
  • コンビニエンスストア事業の企画開発部署
  • 給食や弁当などを製造する嘱託食品提供事業者

ちょっと変わったケースだと、厨房器具メーカーで、新製品の鍋などを使用した調理レシピ考案や厨房機器の開発途中での調理実験、調理講習会や展示会での使用指導に取り組むなど、間接的に厨房機器の開発に貢献している栄養士も存在しています。


これは厨房機器に限らず、食に関わる製品やサービスを提供している事業体にはそういったポジションがあるため、気になる業界の事業者内に、そういったポジションの有無を確認してみることも無駄ではないでしょう。


開発職で求められる資質

開発職は、新たな食品や飲料を生み出す仕事となります。

新規であれ改良であれ、商品に新たな価値を付加し、消費者にその価値を感じてもらい購買活動につなげてもらう必要があります。

■開発職の栄養士に求められる資質

  • 商品や事業に対する責任感
  • 調査探求の掘り下げが苦にならないこと
  • 試作試飲食を繰り返しながら開発を正しい方向に向けていく仮説類推思考
  • 商品への理解が行き届いていること
  • 商品のユーザーや市場への理解

商品企画開発の栄養士が活躍する主な職場

商品企画開発をおこなう栄養士の主な職場とその業務内容を見ていきましょう。

大手飲食品メーカーの研究所

大手飲食品メーカー研究所の商品企画開発の仕事は、栄養士としての知識を活かしながら調査や、試作などを通して新しい商品を開発・企画することです。

すでにメーカーが販売している商品に改良を加える業務もあれば、一から商品を開発する業務もあるなど、会社・所属・担当によって様々な仕事の形があります。

例えば味については、原材料の調合の方法や分量が少し違うだけで変わってしまうため、商品開発における栄養士の仕事は、繊細さや地道さが求められ、大変根気がいる仕事です。

また、食の安全や健康への関心が高まっている昨今では、広い栄養知識や健康に関する知識が商品開発においてより大切になっています。栄養士はこれら総合的な観点から商品企画開発を行っていくことになります。

飲食店チェーンの企画開発部署

外食チェーンの企画開発部署における栄養士の仕事は、メニューの改良やさらに集客などにつながる新メニューの企画開発が主なものになります。

特に新メニューの開発は、ターゲットとなるお客様を意識した今までにないコンセプトを考えたり、食の流行の反映や予算との兼ね合いなども考えたりしながらの幅の広い仕事です。他の店舗のメニューなどをリサーチしたりするマーケット調査などを行う場合もあります。

営業・マーケティング部門などと連携を取りながらヒットに結び付くメニューを生み出すなど栄養士としての知識に加え、情報収集力、コミュニケーション力、発想力も重要なスキルとして求められます。幅の広さとともに結果が求められる厳しさもありますが、自分が企画したメニューに対するお客様の反応をダイレクトに実感ができるやりがいのある仕事でもあります。

スーパー・コンビニエンスストア事業の商品企画開発部署

中食のニーズの高まりとともに、スーパーやコンビニエンスストア事業においても栄養士は不可欠な存在です。

プライベートブランドとして展開している商品や、総菜の企画など会社によって活躍できる場所はさまざまです。強い定番商品を持っていても、商品の更なるブラッシュアップなどがあるので、情報を常に収集し、その時のトレンドやブームを見据えて、新しい発想やアイデアで商品を開発・企画していきます。

この業界でも食の専門知識を持つ栄養士が活躍できる分野が大いにあると言えるでしょう。

給食や弁当などを製造する受託製造事業者

学校や病院、福祉施設、社員食堂などの依頼を受けて給食や弁当などを企画・製造する事業者のことです。事業者が契約する施設の要望・目的に応じ、栄養士が適切な商品(メニュー)を考案し、提供しています。

実際に栄養士が働く場所は、事業者が契約している施設内(給食センター、病院、社員食堂など:運営方法により異なる場合があります)です。例えば病院に提供する場合には、入院患者に対する全体的なメニューを企画開発することもあれば、症状に応じた、それぞれのメニューを考察する場合もあります。

なお、受託製造事業者で働く栄養士の大半は、メニューの企画開発をしたり、実際に調理や厨房の衛生管理も行ったりしながら、調理や調理補助のスタッフなどとともに安全・安心な食事の提供をすることが求められます。また、栄養士の専門的な知識を持って活躍できる場面は多くあります。

学術機関や研究期間で栄養に関する研究をおこなう

大学院卒の修士・博士の管理栄養士が、大学や公的機関、民間の研究機関に在籍しながら、栄養に関する研究をおこないます。

〇研究を通じて行われること

  • 新たな学説として論文にまとめて発表する
  • 企業と連携して、研究に基づいた新商品の共同開発に携わる

なかには、世界的に有名な科学誌『サイエンス』に掲載されるような学術論文を発表している栄養士も存在しています。

研究・開発職の栄養士になるために必要なスキル

大手食品メーカーなどで研究職に就くには、やはり学術的な基礎知識の量と、それらの知識を応用した思考ができることが必要な条件となります。

そのため、食事や栄養分野だけでなく、研究対象となるような食品化学や工業化学、バイオテクノロジーなどの特定分野の知識や会の消費動向などといった市場の知識も必要です。転職であれば、実務経験なども重要視されます。

また、学術研究職として新説の仮説検証を繰り返して論文を発表していくようなポジションに就くには、学術研究機関や民間研究機関に所属し、自身の研究テーマを追求していく必要があります。

大学在学時からテーマを見定め、大学院過程で研究を続けていくといいでしょう。その過程で、学術研究機関に研究者として就職するか、民間研究機関に研究員として就職するか、進むなかで数通りの道が見いだせるでしょう。

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