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直営の施設とは、栄養士を直接採用している施設のことです。主な直営の施設は以下の通りです。
それぞれ働く職場によって、働く内容は変わってきますが、食事を通じて患者や入所者、児童生徒などの健康と栄養を管理するという大きな役割は変わりません。
病院で働く栄養士は、主に入院患者の献立の作成や食材の発注、実際の調理などを行っています。季節のイベントの時期(クリスマスやお正月など)には、メニューの中にその季節を感じる工夫を添えることもあります。
また、個別での栄養管理が必要な患者に対し、医師や看護師と協力のもとで献立を工夫するのも栄養士の仕事。入院患者のみならず、外来患者に対して糖尿病や生活習慣病の予防・改善に向けたアドバイスを行うこともあります。
高齢者介護施設の利用者にとって、食事は大きな楽しみのひとつ。栄養バランスに配慮しつつ、利用者に満足してもらえるよう献立を工夫するのが栄養士の仕事です。病院と同様、メニューの中に季節を感じさせる工夫も大事な仕事となるでしょう。
また、利用者それぞれの個別での食事状況を観察し、必要に応じて医師や介護職員と情報共有することもあります。栄養不足や水分不足などから体調不良を招かないよう、予防的な意味において栄養士の存在はとても重要です。
幼稚園や保育園の中に併設されている厨房にて、実際に園児向けのさまざまな調理を行うのが栄養士の仕事。もちろん、献立の立案や調理員に対する指示から食材の発注管理、衛生管理、予算管理なども厨房の管理者として栄養士に任されている仕事です。
加えて近年では子供の食育の観点から食事の大切さを教えるために、園児や保護者に向けた情報発信を行っている栄養士もいます。園児の個別の状況に応じ、栄養士が保護者と面談を行っている園もあるようです。
学校(給食センター)における栄養士は、主に献立の作成や給食の提供を行っています。具体的には、学年に応じて栄養・エネルギーを考慮した適切なメニューの立案、センター内での調理員への指示、衛生管理などです。
また近年では、食育という観点から、生徒や教師に対する栄養指導・食事指導を任されている栄養士もいるようです。その一環として「給食だより」の発行を栄養士に任せている学校もあるようです。
直営施設の栄養士と比較されるのが委託給食会社の栄養士。直営施設の栄養士は、自身が採用された施設でしか働くことができませんが、委託給食会社の栄養士は上記の施設のうち、会社の契約先で働くことになる点に大きな違いがあります。
一番のメリットは、現場の細部まで把握できることにあります。
保育園の栄養士は、献立を考えて調理したり、子どもたちのおやつを作ったり、事務作業までこなします。直接雇用されることで、食事に関するあらゆることを任されますので、さまざまな場面で臨機応変に対応する力もつくでしょう。
保育園のほかにも、以下、直営の病院・高齢者介護施設・学校(給食センター)で働いている栄養士のメリットを見てみましょう。
基本的にグループ内で異動することはなく、栄養士本人が希望する限り、長期間にわたって同じ病院で働くことになります。長く働いていれば、長期入院をしている個別の患者の状態や好みについても徐々に詳しくなっていくことでしょう。その結果、長期入院をしている患者の食事満足度の向上につながります。
また長く働くことで、その病院特有の良い面に加え、改善すべき面も見えてくることでしょう。厨房運営の円滑化や、さらなる進化に向けて、直営病院で働く栄養士の業務は多岐にわたっていきます。さらに、食材の発注先との関係も具体的に見えてくるようになるため、やがては病院のコストコントロールの一部を担う重要な責務にも関わっていくことになります。
直営の高齢者介護施設で働く栄養士もまた、病院で働く栄養士と同様に、異動することがほとんどありません。長期にわたって同じ施設内で働くことになるでしょう。
長期的に同じ施設で働くことにより、栄養士には、病院と同様のメリットが生まれると考えられます。利用者の嗜好などを把握できるようになるため、より満足度の高い献立を提供できるようになる、ということです。咀嚼や嚥下の特徴も個別で分かってくるため、より利用者が安全に食事を摂れるよう配慮できるようにもなります。
加えて、病院と同様に厨房運営の効率化や予算管理などについても、現場責任者である栄養士の存在感が増していくことでしょう。長く働けば働くほど、その栄養士は、施設にとって「なくてはならない存在」になっていくはずです。
自治体の方針で学校ごとに給食室を設け、給食を提供するのではなく、地域の学校へ一斉に提供できる給食センターを設置する自治体があります。ここでは一定のエリアに属する全ての学校の給食を、1つの給食センターが担う形となります。
自治体に属し、センターに勤務している栄養士の場合、同じ現場で長く働き続ければ、その給食センターの良い点も改善点も見えてきます。衛生管理の盲点なども見えてくる可能性があるので、地域の学校に対して、より安全性の高い給食を提供できるようになるでしょう。
また、自治体により複数のセンターを持つところもあります。
病院や高齢者介護施設では、栄養士を直接雇用しているところが多くあります。そこでの栄養士の主な業務は、患者や入所者の栄養管理になります。
たとえば病院で、医師や看護師と医療チームを組んで、栄養管理を行うNSTという活動を行えるのは、直営施設の栄養士のみです。責任ある対応が求められる一方、やりがいのある仕事だともいえるでしょう。
NSTとは、Nutrition Support Team(栄養サポートチーム)の略称。入院患者に対して最適な栄養管理を行うことを目的に、医師、看護師、管理栄養士、薬剤師、理学療法士、言語聴覚士、歯科医師、歯科衛生士などが協力するチームを指してNSTと言います。
NSTの具体的な役割は、病気や手術などの影響で十分に食事を摂れない患者に対し、早期の健康回復を念頭におきながら、適切な栄養補給の方法を模索し実行すること。医学的な視点はもとより、特に栄養学的な視点が重視される仕事になるので、NSTにおいては、管理栄養士が実質的リーダーのような存在になることも少なくありません(形式上のリーダーは医師となります)。
入院中のNSTがうまく機能すれば、患者の入院期間の短縮にも繋がります。入院期間の短縮が病院全体の傾向として定着すれば、ひいては病院経営の効率化や医療費の削減、医療の機会均等などにも貢献することになるでしょう。
なおNSTの対象者を抽出する際にも、管理栄養士は中心的な 役割を担います。
さまざまな職場で働くことができる委託給食会社の栄養士とは違い、直営施設の栄養士は同じ職場で働き続けるため、人間関係が限定的になってしまう可能性があります。
人間関係が限定的であることが、そのまま栄養士としての仕事の質に直結するわけではありませんが、日頃から、仕事上で直接的にも間接的にも関わる人たちを意識して積極的にコミュニケーションをとることで、自身の視野を広げることが成長にもつながるでしょう。
直営施設の栄養士は施設に直接雇われているので、人間関係などに行き詰まったことを理由として転職したいと思った場合、その施設を辞めて、自身で再就職先を探さなくてはならないケースも少なくないと思われます。
一方、委託給食会社の栄養士の場合、その職場が合わないと思ったら、採用先の委託給食会社が別の職場を紹介してくれるなど、再就職をしなくても済みます。
直接雇用の栄養士は人気がとても高く、採用は退職した職員の補充がメイン。求人が少ないので、就職が難しいといえます。