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管理栄養士が取得できる、公益社団法人 日本栄養士会および公益財団法人 日本スポーツ協会の共同認定となる「公認スポーツ栄養士」という資格があります。
一般的にいわれているスポーツ栄養士は、この「公認スポーツ栄養士」の資格を有し、競技者をはじめ、監督やコーチ、トレーナーといったあらゆる関係者の間で、栄養知識の認知を拡げたり、競技者が食によって自己の管理能力向上に寄与したり、スポーツへの取り組みをサポートする仕事です。
スポーツ栄養士は、栄養学のプロフェッショナルです。ここでは、そんなスポーツ栄養士の具体的な仕事内容と必要なスキルについて確認していきましょう。
まず、一口にスポーツといっても、競技には様々な種類があります。
陸上、球技、体操、水泳、クライミング、自転車などの機材スポーツ、自動車やバイクレースなどのモータースポーツ、主に冬季に行われるスキーやスケートなどの他にも、最近ではX Games:エックスゲームズ(エクストリームスポーツの総称)と呼ばれる、若い人たちに人気のスケートボードやBMXなどといった多様なスポーツがあります。オリンピックスポーツに選出されたサーフィンも、エックスゲームズの一種です。
競技者についても、幅広い層の人たちが当てはまります。
アマチュアでは、小・中学や高校、大学に通学しながらスポーツに取り組む学生。学生ではないものの、プロを目指して独自の取り組みを続ける若年層。社会人として個人でスポーツに勤しむ人もいれば、サークル団体に属して取り組む人、実業団で活躍する人もいます。高齢になっても特定のスポーツに注力する人など、誰もが掲げた目標を達成しようと取り組んでいるケースが多いでしょう。
最近では、シニアのためのスポーツ大会が流行しており、「マスターズ陸上」や、厚生労働省などが主催する「ねんりんピック」が有名です。
その他にも、プロの下部組織や特定養成機関に属しながら、スポーツの英才教育を受けてプロになることを目指す才能溢れる選手たちもいれば、既にプロ選手として、スポーツで収入を得ている競技者もいます。
まず、競技や競技者について簡単に確認してみましたが、スポーツ界は、その全てをすぐに把握しきれるほど、狭い世界ではないことが分かります。
スポーツ栄養士は、主に上記のような各競技に取り組んでいる競技者を対象に、スポーツ栄養学の知見を活かしてサポートをおこなう仕事です。
各スポーツをおこなう競技者が、試合で最高のパフォーマンスが発揮できるよう、食事の面から、日々の栄養管理を全面的にサポートすることがスポーツ栄養士の主な仕事となります。
具体的には、練習状況を把握した上で、選手に必要な栄養が摂れる献立の考案を中心に、競技者に対して栄養面で役立つアドバイスの提供等をおこないます。
一見、シンプルで簡単そうに思えるかもしれませんが、その実はかなり細かな気配りが必要です。
相手が団体競技の選手であれば、同チーム内であっても、選手毎に抱えている改善すべき課題が違います。例えば、足をつりやすい選手と、筋肉を増強したい選手、体重を絞りたい選手では、努めて摂取すべき栄養素が違います。
選手毎に違いがあることを受け止めつつも、チームとして試合および練習スケジュールを考慮した、基本とすべきバランスを見出したメニューを提供しながら、その一方で、選手ひとりずつが描いているビジョンと、チーム内での役割や強みを把握し、“個”に対して必要な栄養の情報を主体的に提供しながら、必要に応じて献立に加えていく必要があります。
また、スポーツ栄養士として、その取り組みを形にするにあたっては、チームのオーナーや運営者となる監督、分野毎の各コーチやトレーナー、実際に食事をつくる調理師さんといった、選手以外の関係者の理解と信頼を得ることも重要です。
そのためには、下記が大切な資質となります。
■スポーツ栄養士に重要な資質
個人競技のスポーツであっても、背景にはコーチやマネージメント会社、営利非営利問わず支援団体があるので、団体競技の選手を対象にする場合と大きな差はありません。
また、スポーツ栄養士というポジションは、大人数で取り組む仕事ではありません。基本的にはチーム内に限られた人数しかいないものです。そのため、チームの栄養分野におけるリーダーとして、栄養面から競技者たちを勝利に押し上げる強い信念が必要です。
プロ選手のように、栄養に関して組織的な取り組み方をしているアマチュア競技者は少ないと言えるでしょう。
とはいえ、アマチュアのなかでも階層があり、トップクラスの競技者ともなると、個人や個人の運営するチームでトレーナーや栄養士を雇用しているケースもあります。また、中級クラスの競技者でも、意識の高い人は自己課題を把握し、その改善に栄養面のアプローチを取り入れているケースも多いことでしょう。
最近では、高蛋白低カロリーのジム食といった1食分のパッケージ食が売り出されていたり、アマチュア競技者でも手軽に入手することができるエネルギーバーのような、栄養補助食(補給食)も出回っていたりするので、食の観点からのアプローチの重要性は、アマチュア競技者の間でも、ひと昔前に比べてある程度の認知が拡がっています。
そんなアマチュアシーンに対するスポーツ栄養士職の需要といえば、競技生活をおくる学生に対して、となることが多いのではないでしょうか?
例えば、大学生による陸上競技です。
なかでも早稲田大学の駅伝競走部を2006年からサポートしている管理栄養士の存在は有名です。箱根駅伝などに出場する他の大学でも、陸上部の寮では専属栄養士による食事を提供しており、他の大学でも同様です。いずれも職業としての肩書は公認のスポーツ栄養士ではありませんが、役割としては同様です。
また、自治体の取り組みとして、高校生の部活動に対してスポーツ栄養セミナーが開催されるなど、アマチュアスポーツの領域でも、スポーツ栄養士が必要とされる機会も増えてきています。
病院などでリハビリ治療をおこなう患者に対して、食事を通じて栄養面のサポートを担う仕事もあります。病院の管理栄養士と少し違う点は、リハビリ治療をおこなっている患者を対象にしているということです。
リハビリ治療者には低栄養が多いといった調査結果が出ており、低栄養の状態でリハビリをおこなっても十分な効果が得られないことや、場合によってはリハビリ治療が逆効果になることから、リハビリ患者への栄養支援の大切さを訴える声も少なくありません。
そもそもリハビリ治療は、身体の運動機能を回復させるものであり、改善対象とする身心機能として、摂食機能や消化機能、同化機能、体重維持機能、代謝機能、水分・ミネラル・電解質バランスの機能といったような、国際生活機能分類における栄養関連の項目も含まれています。そのため、リハビリ時に摂るべき栄養を、一部では「リハ栄養」と位置付け、管理をしていくことが提唱されているようです。
また、リハビリをおこなう人のなかには、ケガや故障で入院・通院をしているスポーツ競技者も少なくなく、病院によっては1日の摂取量を定めた「アスリート食」を提供しながらリハビリをおこなう病院施設もあるほどです。
リハビリとスポーツは少しかけ離れたイメージがありますが、スポーツ栄養士は、理学療法士や作業療法士と連携して、リハビリ状況を確認しながら、現状の改善を目的に食事のアドバイスなどをおこないます。
フィットネスのスポーツ分野にも、栄養面の認知がかなり浸透しています。その影響もあって、肩書こそスポーツ栄養士とはいわずとも、専門知識をもった管理栄養士が多く活躍している分野です。
現代は、多くの人がフィットネスジムに通う時代になってきました。
ジム通いをする利用者は、競技者とは違って健康増進のエクササイズを目的としているケースや、別の競技に取り組むなかで、補助的に身体能力の維持向上を目的にフィットネスジムに通うケース、ボディービルや重量挙げなどのフィットネス分野のスポーツに注力しているケースなど、人によって様々です。
これらのことからも分かるように、フィットネスは受け皿が広く、比較的万人受けする、とっつきやすいスポーツといえるでしょう。
この分野でも、フィットネス効果の最大化を目的に、栄養カウンセリングを提供したり、トレーニングメニューに加えて食事メニューまでチェック、指導したりする体制を敷いているフィットネスジムもあるほどです。
最近では、すぐにでも実施してもらえる栄養面の取り組みを提案できることなどが、フィットネスジムの栄養士にとって必要とされるポイントになってきています。例えば、特定の食品の含有成分と、その食品の消化速度などを前提とした即時的に考案したメニューを、指導相手の体調やビジョンに合せて提案することです。そのため、栄養知識を常時新しいものに更新したり、相手の状態をサッと把握できる洞察力、提案するメニューに結び付ける即応力などが必要になってきます。
あくまでもトレーナーとは違う職域ですが、栄養面のサポートで相手の理想を実現する一旦を担うポジションです。
スポーツ栄養士は、主に下記の環境で職務に取り組みます。
■スポーツ栄養士が活躍する主な職場
※個人事業主として開業する人や、非常勤として活躍する人もいます。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
食事や栄養は、体を作るための基本的要素。しかしながら人間の体には、まだまだ未知数なことが多く、世界中の大学・学術機関において、体と栄養との関係が研究され続けています。 このような研究現場において、体作りと栄養学のそれぞれの専門知識を持つスポーツ栄養士は、とても重宝される存在。スポーツ栄養士の資格と併せて大学院で学位を取得すれば、専任の研究員・教員として採用される可能性もあるでしょう。
病院では、多くの患者が一日も早い日常復帰を目指し、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による療法のもと、リハビリを行っています。スポーツ栄養士は、これらリハビリの専門家と連携し、食事や栄養面の視点から患者の日常復帰をサポートします。筋肉量を落さない食事や、免疫力を高める食事など、スポーツ栄養士としての専門知識を活かし、患者それぞれに様々なサポートを行っています。
健康増進センターとは、国民の健康維持・増進のために、1972年から設置がスタートした公的施設。利用者個人のライフスタイル等に応じ、個別で生活プログラムの作成や、同プログラムの実施をフォローしていくことを役割としています。
人の健康のベースは、食事と運動にあることは言うまでもありません。食事と運動を専門とするスポーツ栄養士は、健康増進センターのアドバイザーとして、まさにぴったりの人材と言えます。
トレーニングジムを大きく分けると、パーソナルトレーニングジムと、総合型フィットネスクラブの2種類。どちらの現場でも、スポーツ栄養士は重宝される人材となります。
パーソナルトレーニングジムでは、利用者一人ひとりのライフスタイルに合った適切な食事・栄養指導を行なうことが可能。総合型フィットネスクラブでは、利用者全体への一般的な食事・栄養指導のほかにも、ダイエットコースやマンツーマンコースなどで専門知識を活かすことができるでしょう。
国や地方自治体が有する多くの行政機関の中には、住民の健康維持・増進を目的としている機関が多くあります。その代表的な機関が、国であれば厚生労働省であり、各地域であれば保健所です。ほか、文部科学省やスポーツ庁も、国民の健康に関連している行政機関と言って良いでしょう。
スポーツ栄養士の有資格者は、これら行政機関におけるアドバイザーとして、また各種イベントの企画担当や現場運営者などとして、広く活躍できることでしょう。
子供の体から大人の体へのプロセスにある小学生・中学生。大事な成長期にあたる時期だからこそ、体作りの基礎として、運動と食事には十分な配慮が必要となります。 スポーツ栄養士の資格を持つ教員であれば、生徒たちに向け、理想的な体づくりに向けた具体的なトレーニング法と食事法を指導することが可能。時には保護者に向けて、栄養・運動に関する情報発信を行うこともあるでしょう。
委託給食会社とは、病院や福祉施設、高齢者介護施設、企業の社員食堂、学校、幼稚園・保育園などから依頼され、それぞれに食事を提供している事業者のこと。調理師だけではなく、栄養士や管理栄養士、施設によってはスポーツ栄養士も多く活躍しています。
仕事内容は、各施設で必要とされる献立の立案、調理、厨房の衛生管理など。施設や業態により栄養士の専門知識を幅広く活用する機会も多く、様々なタイプの仕事を経験できることも、委託給食会社で働く醍醐味となるでしょう。
スポーツ栄養士は、プロスポーツ団体からの食事管理・栄養管理の依頼を受けることがあります。団体全体に対する共通の食事管理に加え、団体の事情に応じ、所属する特定の選手に特化した食事指導が並行されることもあるようです。
同じプロスポーツ団体とは言っても、競技が異なれば、必要な栄養素や摂取量はまったく異なります。科学的根拠に基づいて強いチームを作りたい監督にとって、スポーツ栄養士との連携は欠かせないものとなるでしょう。
プロのスポーツ団体とは別で、選手本人がアスリートサポート機関と契約し、フォローを受けている例は多々あります。パーソナルトレーナーや専属マッサージ師などがよく知られていますが、ほかにも、体作りの目的でスポーツ栄養士と契約をしているプロスポーツ選手も多いようです。
プロスポーツ選手の最大の目的は、試合の瞬間に最高のパフォーマンスをすること。その瞬間に向け、スポーツ栄養士は長期間かけて栄養面・食事面からの指導とサポートを行っていきます。
公益法人とは、公益法人認定法によって事業に「公益性」が認められた団体のこと。大事な柱は「公益性」の有無であり、事業内容の種類は問いません。
スポーツ栄養士を募集している公益法人は非常に多く、その仕事内容は事業者によって様々。健康増進を目指す公的企画・イベントを担当者やスポーツと栄養に関連する研究者などとして、活躍する例が見られます。
公認スポーツ栄養士の資格を取得するためには、以下の条件があります。
■公認スポーツ栄養士資格取得に必要な条件
参照元:公認スポーツ栄養士 | 公益社団法人 日本栄養士会
(https://www.dietitian.or.jp/career/specialist/sports/)
注意したいのは、スポーツ栄養士は登録資格であり、日本体育協会の講習を受けはじめてから5年に以内に合格登録しなければならない点です。合格登録が適わずに5年が経過すると、講習を受け直す必要があります。
また、資格の有効期限は4年間で、期限内に登録資格の更新をするには、研修を受講して15単位の取得が義務付けられています。
スポーツ競技者のパフォーマンスを、栄養面から向上させるといった重大な責務を担うことになるスポーツ栄養士。資格取得までのハードルは決して低くはありませんが、スポーツに関わる仕事がしたいと願う管理栄養士が大いに活躍できる環境であることは、いうまでもありません。
参照元:公認スポーツ栄養士とは | JSNA - NPO法人日本スポーツ栄養学会
(https://www.jsna.org/about/)